取扱い作家・作品名など

2025感謝頒布展示会

30.白瀧幾之助「花」

1873ー1960、油彩、板/21.3×27.0㎝ 220,000円⇒110,000円

白馬会系の有力画家で、山本芳翠、黒田清輝に師事。東京美術学校卒業の年に24歳で白馬会展に出品した「稽古」で脚光を浴びた。1903年(明治36年)米国に渡り、英ロンドン、仏パリを巡り、11年帰国した。夜のケシのような妖しい絵で、浪漫主義が色濃い。東京美術倶楽部鑑定付き。

31.白根光夫「屋上の風物」

1926-、油彩、カンバス/F12号    35,000円⇒18,000円

カンバス裏に1963年作とあり、画家30歳代後半の若い頃の作品。「屋上の風物」という題名から、当時盛んだったデパートの屋上遊園地を描いたものと思われる。

32.新海竹蔵「女性の顔」

1897-1968、テラコッタ、高さ11.5×幅8.5×奥行7.0㎝ 32,000円⇒21,000円 

山形市生。上京して「ゆあみ」などで知られる叔父の新海竹太郎の下で修業。文展で「母子」が初入選。院展を中心に「坐女」などの多くの佳品を残した。優雅な女性の顔。上部に壁掛け用金具埋め込み。

33.鈴木信太郎「人形」

1895-1989、油彩、カンバス/0号 360,000円⇒180,000円

明治28年東京生まれ。白馬会溜池洋画研究所に学ぶ。大正15年に二科会展で樗牛賞。戦後、野間仁根らと一陽会を結成。生粋のカラリストで、アンチームな(親密感のある)風景画や花の絵を数多く残した。人形ながら頬は赤みを帯び唇は赤く、生きているような愛すべき小品。

34.高畠達四郎「海の見える丘」

1895-1976、油彩、板/P3号  120,000円⇒70,000円

1921年(大正10年)から28年まで滞仏し、藤田嗣治らと交友した。しみじみとした生活の情感が漂う戦後の「暮色」などで有名だが、これは若い頃の滞欧作。

35.高橋忠弥「中国の鍛冶屋」

1912-2001、油彩、カンバス/F8号    130,000円⇒90,000円

昭和11年上京。戦中は新聞社、通信社の特派員として中国に渡った。40年渡仏。本の装幀も多い。中国時代の鍛冶屋などの街の風景。

36.田中保「裸婦」

1886ー1941、パステル、紙/48.8×62.8㎝ 320,000円⇒230,000円

埼玉県生。18歳で渡米し働きながら画塾で学ぶ。詩人で美術評論家のルイズ・カンと結婚しパリに渡りコール・ド・パリの画家たちと交遊。藤田嗣治らと並んでモンパルナスの主要作家の一人となった。ナチス占領下のパリで客死。 田中らしいはかなげで甘美なデッサン。

37.田中保「湖水へと続く道」

1886ー1941、水彩、紙/32.0×42.0㎝ 95,000円⇒45,000円

湖水のしっとりとした空気感の漂う印象派風の水彩画。紙裏にサイン。

38.ルイザ・チェイス「無題」

1951-2016、油彩、カンバス/仏P50号 300,000円⇒230,000

Louisa・Chase、1951年パナマ市生。米ペンシルベニア州ランカスターで育つ。シラキュース及びイエールの両大学に学ぶ。卒業の年75年にニューヨークで初個展。80年代米ニュー・イメージ・ペインターの一人。70年代後半に台頭したバスキアなどの新表現主義の影響も受けた。1990年作。来歴/ブルック・アレクサンダー(ニューヨーク)、サザビーズ。

39.鳥海青児「東大正門前」

1902-1972、油彩、カンバスを板に貼付/31.0×37.0㎝ 180,000円⇒140,000円

大正15年(1926年)24歳の時に上京し、横堀角次郎のあっせんで本郷森川町の東大正門前の下宿太平館に入る。その目の前の正門を描いたもの。横堀の子息の辰義氏の識(書面)があり「鳥海氏の作品と思うが~」とある。鳥海の大正15年作「芦屋風景」が「チューブから絞り出したものをそのままの白の使い方」と言われたが、この作品でも同様な白の扱い方がなされている。「灰っぽい茶と緑に独特な滋味をもった色調の人」(足立源一郎)との当時の評もこの作品に共通している。

 

40.ルドルフ・ハインリッヒ・ツィレ「男」

1858-1929、コンテ、紙/12.5×6.4㎝ 36,000円⇒24,000円

 独ザクセン生。ベルリンの美術学校を経て、風刺雑誌「ジンプリチシムス」や「ユーゲント」にユーモアあふれる挿絵を数多く描く。勧誘されてクリムトらのウィーン分離派の会員になる。当時の民衆のあるがままの姿を彼らと同じ低い目線で時に温かく、時に辛辣に描き大衆的な人気も得た。画集(ドイツ語)付き。

41.津高和一「熱気」

1911ー1995、油彩、板/14×18㎝ 485,000円⇒320,000円

1950年代以降、具象から独自の詩情にあふれた抽象に転じた。西宮市生。16歳で詩を書き始め、戦前は「神戸詩人」に作品を発表。1960年のニューヨーク・グッゲンハイム賞美術展出品など内外で高評価を得た。小品ながら、珍しい抽象初期の1958年作。

42.椿貞雄「静物(桃)」

1896-1957、油彩、カンバス/21.3×45.0㎝  420,000円⇒350,000円

上京し岸田劉生に師事。大正4年に岸田、木村荘八らと草土社を結成。白樺の武者小路実篤、長与善郎らとも交友した。劉生の絶対的な影響下にあった草土社風写実から、その死後は独自の温かみのある作風に転じた。桃の連作シリーズの一枚で、机上の中国風染付磁器と2個の桃を細密に描いたもの。静謐な緊張感が漂う。画面右上に「昭和十三年寫 十六年加筆 椿貞雄」とある。

43.鶴田新「Snow」

1978-、油彩、カンバス/F30号 31,000円⇒22,000円

愛媛県松山市生まれ。住宅case17がAsia Design PRISEで金賞を受賞など、建築家(Arata-Architect Studio )としての活動の傍ら、抽象画の制作にも取り組んでいる。2021年1月23日作。雪降る情景に想を得た。

44.寺内萬治郎「横たわる裸婦」

1890ー1964、オイルパステル、紙/26.9×45.7㎝ 280,000円⇒180,000円 

大正14年、帝展で「裸婦」が特選。終始一貫して裸婦、女性像を描き続け、優れた対象把握力が高く評価された。横たわり両腕の輪に顔を埋めて眠り込んでいるような表情と姿を一塊のフォルムとして温かい眼差しで描いている。上下からモデルを支える灰白色と黒の背景色も効果的。

45.寺田政明「花」

油彩、カンバス/F3号 45,000円⇒0,000円

独特の赤を主調としたよく知られた花シリーズの小品。昭和20年作。

46.東郷青児「女性像(春)」

1897-1978、エッチング、紙/35.5×28.7㎝ 55,000円⇒35,000円

大正8年から昭和3年まで滞払。初期のキュビズムなどの前衛の作風から、戦後はいわゆる青児スタイルの女性像に転じた。美しいブルーが若々しさを感じさせる比較的初期の版画作品。

47.東郷青児「女性像」

1897-1978、エッチング、紙/35.5×28.7㎝    65,000円⇒35,000円

大正8年から昭和3年まで滞払。初期のキュビズムなどの前衛の作風から、戦後はいわゆる青児スタイルの女性像に転じた。エッチングによる鋭い線描や乳白色の冷たい磁器を感じさせるフォルムが魅力的な女性像。比較的初期の版画作品。

48.富樫寅平「子供」

1906-1951、油彩、カンバス/112.0×86.5㎝ 95,000円⇒45,000円

新潟県出身。蒲原平野の画家である佐藤哲三らと「野人会」を結成し展覧会活動を行った。大正11年、一九三〇年協会展に入選。昭和3年上京し二科技塾に学ぶ。12年に「水浴」が独立賞。将来を期待されたが45歳で没した。文献「第5回独立展集」付き。額なし。

49.中筋幹彦「静物」

1925-1956、油彩、ボード/27×17.5㎝ 240,000円110,000円

大阪生。東大中退。森芳雄と親交し、自由美術協会会員となったが、翌年30歳の若さで死んだ。遺作展が銀座サエグサ画廊で遺作10余点により開かれた。確信的な強い筆勢で、静物画でありながらシュールで表現主義的な雰囲気が漂う。

50.中西利雄「ブルターニュ風景」

1908-1976、水彩・ガッシュ、紙/37.3×46.3㎝ 90,000円⇒60,000円

明治33年東京生。昭和2年(1927年)東京美術学校西洋画科卒。翌年から6年まで渡仏し、小磯良平と共に欧州をめぐった。水彩絵の具に不透明水彩絵の具(ガッシュ)を併用する新技法により「婦人帽子店」などのモダンな風俗を活写した佳作を次々と生み出し、水彩画の地位を高めた。23年に47歳の若さで病没。フランスの北西部のブルターニュ地方の街を描いたもの。その地方独特の頭飾りを付けた女性が道を行く。

51.中村伝三郎「静物」

1916-1994、油彩、カンバス/M10号 52,000円⇒31,000円

兵庫県芦屋市生。昭和17年(1942年)東京帝大美術史学科卒。国立博物館付属美術研究所(現東京国立文化財研究所)に入り、明治以降の彫刻史の研究や美術書の編纂などに業績を残した。芦屋市に生まれ阪神間モダニズムの空気を吸って育った俊英が学生時代に描いた一枚。窓辺の洋酒入りの小さなグラス、バナナ、風にそよぐ花模様のカーテンなどが当時のモダンな生活の雰囲気を伝えて楽しい。1936年作。

52.難波田史男「少女(ヴィーナス)」

1941-1974、水彩・インク、紙/13.5×19㎝ 250,000円⇒180,000円

難波田龍起の次男。早稲田大学美術科卒。初期のイラスト的な作風から「内なる物語」を表現する方向へと転じた。少女の不可解で不思議な内面を描いたかのような作品。

53.西田勝「岬」

1918-1974、油彩、カンバス/F3号 90,000円⇒40,000円

昭和14年より新制作展に出展。新作家賞、岡田賞をとり、古茂田守介と並んで新制作協会の星と嘱望された。守介のデスマスクを描いた。海と空の青が美しい。

54.ジュール・パスキン「座る少女と立つ少女」

1885ー1930、油彩、ボード/28.0×21.5㎝ 980,000円⇒740,000円

繊細な真珠色などの淡い色彩で数多くの娼婦などの女性像を描き残した。優れた素描家でもあり、若い頃には風刺新聞「ジンプリチシムス」に寄稿した。1930年、個展の前日にアトリエで自殺。1921作で比較的初期のもの。

55.ジュール・パスキン「三人の女」

1885ー1930、ペン、紙/14.8×31.8㎝ 98,000円⇒60,000円

ブルガリア生まれ。ミュンヘンの「ジンプル」誌での挿絵素描を経て、1905年のクリスマス・イブにパリに到着。モディリアニ、キスリング、フジタ、スーチンらと共にエコール・ド・パリを代表する一人として人気を得た。女たちのポーズを素早くスケッチしたもの。スタンプサイン、「Lucy Krohg」サイン、証明書付き。

 

56.長谷川昇「鼓(舞妓)」

1886-1973、油彩、カンバス/F12号 180,000円⇒120,000円

福島県生、北海道小樽で育つ。東京美術学校在学中に院展に初入選。卒業後、明治44年(1911年)渡仏。ヴァン・ドンゲンらと交友し 、ルノワールに傾倒した。パリの画廊で個展。ルノワールの影響が色濃く、色彩が鮮やかで美しい戦前の比較的初期作品と推定される。

57.林重義「カフェ」

1896-1944、油彩、カンバス/F6号 105,000円⇒95,000円

 明治29年(1896年)兵庫県神戸市生。大正15年に二科賞。昭和3年から二年間渡仏し、サーカスやパリの街の風景などを好んで描き、「ラ・フラテリニ」や「シルク」などが高評価された。一躍神戸出身のホープとして期待を集め、「舞妓(黒)」など「日本的油絵」を標榜して新展開を目指したが、志半ばで没した。渡仏作。パリのカフェの外のテーブルで憩う男女。その衣服の赤と青が効果的だ。 

58.林重義「パリ郊外」

1896-1944、油彩、カンバス/F4号 390,000円⇒230,000円

神戸市生。一九三〇年協会を経て独立美術協会創立会員。昭和3年(1928年)~5年渡仏し、街の夜のピエロや花売りなども描いた。帰国後は舞妓など日本的な題材の「新写実主義」へと転じた。19年、43歳で没した。パリ郊外の土と緑の風景を描いたもの。嵐を呼ぶような暗く激しい雲の流れの下を、奥の山並みへとひた走る馬車、道に沿う葉を落とした樹々、民家の屋根、電信柱。画面右下にサイン。

59.林倭衛「女の子」

1895-1945、パステル、紙/34.0×26.9㎝ 120,000円⇒70,000円

林倭衛は大杉栄らの無政府主義者と交流し、大杉がモデルの「出獄の日のO氏」で広く知られる。ここではなく遠い所に想いをやっているような少女のスケッチ。出所は新宿の文壇バー「風紋」の元マダムで今年2月に亡くなった倭衛の娘の聖子さんとの話がある。「林倭衛展」画集(2015年・東御市梅野記念絵画館)所載。同画集付き。

1 2 3 4 5 6 7 8 9