取扱い作家・作品名など

相田直彦「郊外の展望」
1888-1946、グワッシュ、紙/56.3×76.1㎝
大正2年、日本水彩画会創設メンバー。昭和初頭から不透明水彩に力を入れ、都会風景や房総海岸などを数多く描いた。中西利雄と並ぶ優れた水彩画家だが、戦争直後疎開先で病没し、作品も散逸してしまった。女性がテラスから都市郊外を見下ろす。=売約済み

青山熊治「ピュトーパリ」
1886-1932、油彩、カンバス/F6号
20代後半の大正3年(1914年)から11年まで渡欧したが、これはその滞欧後期の1920年作。手前の水辺とそれに架かる小橋、舫う小舟、その向こうに赤っぽい屋根の家、樹木、ビルなどの風景で、描きかけのものか。裏に題名、サイン、年記。ピュトーはパリ郊外の都市で、当時はピカソとブラックのアトリエ「洗濯船」に対抗するように、キュビズムを志向したホワン・グリスやフェルナン・レジェ 、アンドレ・ロートなどのピュトー派が集っていた。=売約済み

青山熊治「花」
1886-1932、油彩、カンバス/F4号 150,000円
明治43年白馬会展で白馬会賞をとるなど、描写力が高評価され将来を嘱望された。大正3年から11年まで渡欧。昭和7年46歳の若さで病没した。

荒井龍男「とうもろこし」
1905-1955、油彩、カンバス/21.6×26.0㎝ 250,000円
昭和9年から11年まで滞仏。12年自由美術協会会員。同会の山口薫にも特徴的なバックの日本的な朱色が美しい。後年渡米し活躍。

今西中通「室内(静物)」
1908-1947、コンテ・パステル、紙/19.5×21.5㎝ 120,000円
昭和10年、独立展でⅮ氏賞を受賞。フォービズムからキュビズムへと画風を過激に変遷させた。遺稿の「好んで入り込んだ道ではあったが~」は哀切あふれる。クラシックギターやポット、目覚まし時計、トルソーなど、当時の最新流行のものなどを集めてモダン派風に描いたもの。

今西中通「雪景色」
1908-1947、油彩、紙/26.8×36.5㎝ 150,000円
昭和5年に一九三〇年協会展入選。高知から上京して、カフェで働いていたフサを数多く描いた。そのフォーブ時代の雪景色で空の垂れこめた青や地上の雪の白が鮮烈。

今西中通「裸婦」
1908-1947、ガッシュ、紙/26.5×19.2㎝ 360,000円
画面右下に「35.6」の年記。1934~35年にかけてキュビズム研究として裸婦や静物をデッサンしており、その追求の一到達点と言えるもの。紙裏にも花を題材としたドローイングが描かれている。「今西中通展」(高知県立郷土文化会館 1972年)出品作。

榎本和子「構内響音」
1930-、水彩など、紙/37.5×28.5㎝
戦前から前衛絵画やシュルレアリズム写真で知られていた阿部展也に師事。福島秀子や漆原英子、草間彌生らと共に若手女性画家として、戦後の前衛を牽引した。=売約済み

遠藤泰弘「抽象」
1934-1996、油彩、カンバス/F12号 53,000円
神戸市生。NHK舞台設計を経て画業専念。麻生三郎に師事。具象から抽象に転じた。夏の室内の壁に似合う軽快でさわやかな抽象アート。

大橋了介「セーヌ川の赤い小舟」
1895-1943、油彩、厚紙/26.5×34.8㎝ 25,000円
昭和2年に渡欧し、8年に帰国。戦中の18年に47歳で死去した。青空がのぞく空の下のセーヌ川と、その土手、橋、もやう赤い小舟を素早い筆触で切り取ったもの。

大橋了介「広告塔」
1895-1943、油彩、紙ボード/26.5×35.0㎝
昭和に入って1927年に(昭和2年)渡欧。佐伯祐三の影響を強く受け、佐伯、荻須高徳、山口長男とモランに同行するなど交流した。死後の1947年には妻エレナが画集「生涯と作品」を世に出した。=売約済み

岡田謙三「母と子」
1902-1982、油彩、カンバス/F10号 650,000円
大正13年から昭和2年まで渡欧。帰国記念展への出品作と推定されている。大胆な色面による画面構成はマチス風。淡色系の色使いの好みは後年渡米後の抽象画にも通じる。

織田廣喜「街の人々」
1914-2012、油彩、カンバス/SM 60,000円
若い頃に林忠彦が撮った織田と妻リラの貧しくも生命感にあふれた生活の写真が有名。60年に初渡仏し精力的にパリの街並みや人々を描いた。初期のものに特有のユニークな人物造型が魅力。

小貫政之助「女性像」
1925-1988、油彩、カンバス/P20号 160,000円
昭和24年から読売アンデパンダン展に出品。独特の女性像で知られた。1950年とあり25歳頃の最初期の作品。戦争から間もない頃の時代感が漂う。

小山田二郎「老天使」
1914-1991、油彩、カンバス/F4号 150,000円
中国生まれ。戦後、自由美術協会会員。独自の強烈な幻想性、攻撃性の強い作風で、美しい色彩の水彩画、油絵を残した。樹の精のような、眼のようなものと老いた天使との組み合わせ。